9.6

登別温泉−新千歳空港−新潟


贅沢に行こう
空を飛んだ日
番外編 嫁日記
旅日記あとがき

贅沢に行こう

なんにもしなくてもいい朝というのは本当に幸せである。
今日は旅行の最終日。
予定も登別から新千歳空港に向かい、新潟に帰るだけなので時間はたっぷりあった。
チェックアウトの予定は11時なのでゆっくりとその幸せを堪能することができる。
しかしながら人間というのは贅沢なもので、現在の幸せでは満足できないのである。

登別の朝もそんな朝であった。
他になにもすることはなく、ごろごろ。
朝食もすませてしまったし、あとは朝風呂にはいるくらいしかやることがない。
なんにもしなくてもいい朝は、実はとても退屈な朝だったのである。
それが幸せなことなのだろうか?
忙しい日々を過ごしているときはそんな朝にあこがれたものだが、 実際やってみると物足りなさを感じてしまうのだ。
なんとも贅沢なことだ。
そんなふうに退屈をしていると、川湯温泉で見た木のパズルを思い出す。
それはそれぞれの部屋にひとつずつ常備されていて、
私も川湯で嫁が先に寝てしまったあと、それでひとり暇つぶしをしていた。
今までにも温泉地では何度か見かけたものであり、
登別でもそれがひとつあっただけで印象がだいぶ変わっていたのかも知れない。
もっとも私はそのパズルを川湯ですでに全問解いてしまっていたので、あったとしても退屈していたのはかわらないか。

それにしても本当に風呂にはいるくらいしかやることはないので、出発までの間ゆっくりと浸かることにした。
夜中の十二時で風呂場は男女が入れ替わっているはずなので、今度は大きいお風呂のはず。
しかも時間がもう10時に近いので、他の客は誰もいない。
なんともすごいぜ! 露天風呂に滝がある!
こちらも三種類の湯船があって、しかも広い上に眺めもいい。
しかも独り占め!
とても贅沢な風呂の入り方だ。
やっぱり温泉はこの時間が狙い目だね。
ただ、風呂掃除の時間と重なってしまう可能性が高いけど。
ここでも私があがった直後に掃除が始まってしまいました。

湯上がりに昨日チェックインの時にもらったアイス券でアイスを食べた。
ロビーはもう閑散としていて、浴衣でいるのなんて我々くらい。
フロントでバスの出る時間を調べると11時ということだったので、ちょっと早いが出発することにした。

バス停はホテルの目の前である。
すっかり身支度を整えた我々はすでに出発準備の整った札幌行きのバスに乗り込んだ。
「もう旅も終わっちゃうんだね」 などと話しながら出発を待っていると、
昨日我々の部屋の担当だった仲居さんが乗り込んできた。
そこでほんのちょっと世間話。 日曜明けの休暇で札幌に帰るのだそうだ。
旦那さんのところにでも帰るのかな?
バスは札幌行きの急行だが、我々はやはり列車でということで登別駅前で下車。
そしてまたちょっと時間があるので駅前を少しぶらつくことにした。
そこで本屋などに立ち寄り、本日発売のはずの新刊マンガを探すあたりが我々らしい。
旅の途中だというのにこういうことをするあたりが、もう旅も終わってしまうんだという意識の現れか。
駅では駅前に立つ赤鬼の前で2人の記念撮影。
嫁が仁王立ちのポーズを撮ったのはしっかりと写真に残り、
「赤鬼と鬼嫁」というタイトルが後につけられることになる。
またホームでは熊のゴン太(剥製)を見つけ、背中に馬乗りになったりしてまたも記念撮影である。

登別駅といえば「洋寿司」という駅弁があると聞いたことがあり、
一度食してみたいと思っていたのだが、結局出会えなかった。
これがちょっと残念か。
チーズやカツがネタになったお寿司でけっしておいしいわけではないらしいのだが、
話の種に一度食べてみたかった。
やがて1番ホームに北斗5号が到着。
定刻11時53分発車。
我々は一路新千歳空港に向かう。


空を飛んだ日

新千歳空港駅は地下駅である。
そのままエスカレータを登ればすぐに空港という、大変アクセスの便利な形態をしている。
新潟空港もこのようにすればもっと利用者が増えるだろう。
いまだに上越新幹線を空港まで延ばして、なんて考えているからいつまでも完成しないし、
完成しないからどんどん他の空港に遅れをとってしまうというのに。
成田空港アクセスの成田新幹線も頓挫したんだし、いっそのこと新幹線を切り捨ててしまって、
空港近くまでのびている臨港貨物線を伸延して空港アクセス鉄道にすれば利便性は高いと思うのだが・・・

さてもちろん北斗5号が新千歳空港駅に乗り入れているわけではない。
南千歳で乗り換え、千歳線の支線的な形態をしている新千歳空港線に入り、地下に潜る。
新千歳空港に来るのは私はこれで二回目になるが、こういう方法でくるのははじめてである。
なるほどたいへん便利なものだ。
空港に入ったものの実はあまり時間がない。
しかも昼時で、2人ともお腹がすいてきたということで、
空港内のレストランで食事をすることにした。
北海道といえばカニやホタテの他にもジンギスカンという食べ物が有名だが、
そういえばこの旅では食べなかった。
かといってジンギスカンなど食べている時間があるわけではなく、かわりにマトンカレーを注文する。
羊肉だけでも食べておこうという簡単な発想である。
しかしこういったところの料理など味は予想ができるもので、これもそれなりの味といったところ。
可もなく不可もなく。特徴がないところが不可と言えるか。
空港の売店はとても充実していて、ここにいればもしかしたら我々がこの旅でかったものがすべて手にはいるかも。
まあそれは大げさにしても、我々はここで友人のお土産として夕張メロンポッキーとハッカアポロを購入。
また同僚からのお使い指令で漬け物を買った。

実は私は飛行機に乗ったことがなく、このあたりからドキドキし始める。
何度も「落ちたらどうしよう」とか言ってみたりして、期待なのか不安なのか分からない気持ちになっていた。
乗る飛行機はANA438便。
13:50分出発ということだが、ちょっと早めに3番ゲートに入った。
荷物のチェックを受け、いよいよ飛行機の中へ。
今は飛行機まで直接ゲートが繋がるようになっているため、空港の広さが実感できなくて残念。
しかし寒いときはこれが便利ということか。
中にはいるとアラびっくり。 けっこう飛行機の中って狭いんですね。
新幹線とかに比べるとなんとも椅子がぎゅうぎゅうに詰まっている感じ。
ファーストクラスとかになると違うのかとも思ったが、
どうもこの飛行機の客室はここだけみたいだし、そういったものはないようである。
座席に座るとすぐに窓際に座り、外を覗き込む。
窓が小さくて少し残念だが、ひとりで喚起の声を上げたり写真を撮ったりでいかにも飛行機初体験野郎な自分でした。
やがて飛行機は滑走路に移動をはじめ、離陸体勢を整える。
座席がちょうど羽の後ろだったので、その際の羽の細かな動きがよく観察できた。
飛行機の離陸で酔う人がいるというが、それはどのくらいなものなのだろうと期待が高まる。
いよいよ飛行機が加速開始。
来た! 急激な加速感とやがてくる浮遊感。
あ、私この感覚けっこう好き。
とくに加速感は「行くぞ!」という感じでけっこう気に入った。
しかも結構速いらしい。 あっという間に眼下に太平洋が見えてきて、下に見える船が米粒みたい。
しかもまだまだ上昇。 いったいどこまで昇るんでしょう。

気づくといつの間にか水平飛行に移行していた。
普通水平飛行に移行するときはシートベルト解除のサインが出ると聞いていたのでそれを待っていたのだが、
今日は天候が荒れそうなので解除のサインはなかったらしい。
北海道はいい天気であったが、やがて下北半島と思われる地形を眼下に見ると同時期に飛行機は雲の中へ。
その頃から多少ガタガタと揺れたのを感じた。
嫁に聞くと今日の飛行機はけっこう揺れたそうなのだが、そうなのかな?
列車の揺れとかになれている私はこの程度の振動は別にたいしたことに感じなかったのだが。

飛行機の中で約1時間。
やがて雲の下に出ると雨が降っていた。
機内の天気情報では新潟は雨。 しかし飛行機が速いせいなのか、窓ガラスに水滴がつかないのが不思議である。
左手に新発田の街を見て、阿賀野川を見る頃にはすでに地上はすぐそこ。
わずか4時間前まで登別にいたのが不思議なくらい、あっという間に新潟に帰ってきてしまいました。
さて不思議な体験をここでひとつ。 新潟空港に降り立った我々に襲いかかったのは、重力である。
どういうことかというと、新潟の地に立ったとたんなぜか体が重く感じてしまったのである。
実際には北海道より新潟の方が南にあるわけだから、新潟の方が重力は小さいはずだが。
重力が強いように感じたのは私だけではなく、嫁もそう感じたと言っていたので、間違いではなかろう。
あれはなんだったのだろうか。

空港からは直接家には帰らず、私の実家に行くことになっていた。
お土産もあることだし、夕食を作るのも面倒だ。 そんなわけで家に帰り着いたのは10時に近くなってからだった。
だが昨日の登別が効いたのか、2人ともさほど疲れてはいない。
やはり最後に登別に寄ったのは正解だったと話をしながらも、その日は何もしないで寝たのでした。


番外編 嫁日記

登別ではヒマヒマ星人だったので、お風呂にはいるしか時間をつぶすことがない。
しかーし。
私は冷え性で湯にじっくり浸かってることができないので、温泉といえど烏の行水。くやしー。
そういう理由であがり時間を旦那に合わせるため20分遅れで到着。
が。掃除が始まってしまう時間だったんですねー。
おばさんに「5分だけでもよかったらどうぞ」といわれ、まーいいかーなんて入ってみる。
朝のお風呂もなかなかじゃのう。 ゆっくりじゃないけどお風呂に入って旦那と風呂場の前マッサージ機のところで合流する。
するとそこに新しいお客様(笑)彼女たちも朝風呂に入りたかったらしい。
おばさん達は相談してOKをだす。そこでおばさんと目があった私。
「あー急がせてごめんねー。もしだったらまた入ってー」・・・もうだめですぅ。

それからは時間が経つのが速い。駅まで行って電車に乗って飛行場へ。
飛行機に乗ったら1時間ちょっとで新潟。
行きが何時間もかかっただけに、名残を惜しむ暇もなく新潟。
もちろん時間的にもそうなんだけど、一番の理由は「飛行機の揺れ」でドキドキしたせいよ。
2回目なんだけど、これは揺れるるるー。 乱気流に入ったせいらしいけどシートベルトがとれないなんて!いやーん。
1時間だから我慢できたものの、それ以上だと辛かったわ。
だってエレベーターで酔う私だもの(笑)

長いようで短かった北海道。また連れてって。の前に旅行資金ためなきゃね。
みんな!「北海道いいとこ1度は行こうよ♪」


旅日記あとがき

ほんのちょっと書くつもりが、
書いているうちにあれもこれも書きたいと思うようになって、
あっという間にとても長い旅日記になってしまいました。
それでも最後まで読んでくださる方がいるとすれば、
私はその人に感謝しなくてはならないでしょう。
一応我々が訪ねた土地の観光情報なども入れて、
役に立つ話をと思って書いたものですが、
しょせんは自分の旅の土産話を徒然に書いただけのもの。
目を通してくれただけでもうれしく思います。

北海道へはまた行きたいと思います。
今度は新婚旅行ではないので、 こんなに贅沢な旅行はできないでしょうけれど、
また必ず行こうと決めています。
今度はまた、そのあとにでも。
では、また。

                 ぱせりの旦那
                 1999.10.29


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