9.5

釧路−湿原「ノロッコ号」−登別温泉


釧路湿原ノロッコ号
丹頂の群を見ながら北海道大横断!
すごく広い部屋
番外編 嫁日記

くしろ湿原ノロッコ号

5:30 起床。
このたびでもっとも朝の早い日である。
目的は朝一番に出発するノロッコ号に乗るため。
釧路湿原を見ながら日本一ゆっくり走るトロッコ列車である。
のろいトロッコ列車ということで「ノロッコ」。 簡単な名前だ。
ちなみにこの列車は夏季は釧路湿原を、冬季は網走付近を流氷を見ながら走る。
流氷を見ながらというのも体験してみたいが、トロッコ列車ゆえにきっと寒いぞー。
ちなみに今年から富良野でも同じノロッコ号が走りはじめたらしい。

朝のホテルロビーは誰もいない。 鍵をフロントに預け、タクシーで駅に向かう。
ちなみに岡本タクシー。個人タクシーだったので、もちろん運転手は岡本さんである。
早朝ということで釧路駅もまだ目覚めたばかり。
そんななかに観光客とおぼしき人がちらほら。
このノロッコ号はこの早朝便を含め一日に三本が走っているが、なんでこんなに人がいるのか。
けっこう評判のいい列車なのか? ということは昼出発のノロッコ号は満員か?

6:54 釧路駅出発
客車4両、機関車1両の5両編成。
緑にオレンジ色の太い帯を持つなかなかきれいなデザインを持つ列車だ。
ちなみに機関車はやはりおなじオリジナルカラーを持つDE10−1660。
トロッコ列車といってもやはり居住環境を考えてのことか、一応窓はあった。
だが座席は木製の通路をはさんで3対1という特殊な構成である。

やはり観光列車ということで、主に湿原の見える進行方向左側に座席が集まる構成なのだろう。
釧路駅を出発してしばらくすると東釧路駅へ停車。

ここから根室本線花咲線から分かれ、釧網線へと入る。
と、そのあたりから列車はすっかり霧に包まれてしまった。
後で聞いた話だが、この時期の釧路はとても霧が多いのだそうだ。
そういえば今朝も朝の準備をしているほんの1時間ほどの間に霧がかかったり晴れたりを何度も繰り返していた。
洗濯物が干しにくい土地だね。
霧のなかを級釧路川沿いに北へと向かうが、なにせ霧に包まれているためなんにも見えません。
この早朝のノロッコ号には「あさつゆ」という愛称名がついていたが、
これでは「あさぎり」にしたほうがいいかも、なんて話を2人でしていた。
当初の予定では途中の釧路湿原駅で下車して展望台へと登ろうかと思っていたのだが、
これではなんにも見えまいと思い、予定を変更して終点の塘路まで向かうことにする。
その旨を検札にやってきた車掌に伝えると、なんと我々の座っていた席は指定席らしい。
それほど込んでいないこの列車(しかもトロッコ列車)に指定席が必要あるのか疑問だが、
席を移るのも面倒だし、おとなしく指定席料金と乗り越し料金を払うことにした。
ノロッコ号が日本一のろい列車といっても、ずーっとゆっくり走っているわけではない。
観光客が喜びそうなビューポイントを絞って減速し、およそ時速15キロくらいで走るのだ。
といってもそもそも時速40キロ程度しか出していないのだから、
このスピード重視の時代にあってまったく特殊な列車なのかも知れない。

霧のなかを進む列車は細岡を通過。そのあたりで嫁が声を上げた。
「お、鹿?」
その声につられて私も見るも、確認できない。
どうやら嫁は旧釧路川の対岸に鹿の姿を見たらしく、喜び顔である。

ノロノロと列車は塘路駅に到着。約30分後の同じ列車で釧路に折り返すことになる。
さすがに列車に残って待つ人は1人もなく、みんなどこへ行くのかと思っていたら機関車の前で大撮影大会が始まっていた。
私も混じって写真を撮っていると嫁が機関車の張り出しデッキに立つ姿を撮ってくれた。
他の人も同じような構図で撮っていたが、本当は乗務員以外が機関車に乗ることは禁止されているんだよね。
さて塘路でしばらくすごしていると少しずつ霧も晴れてきて、青空が広がってきた。
最終的には鮮やかな青空。 森と湿原の緑と青空。
その中にたたずむノロッコ号の緑の車体はとてもきれいである。けっこう好きかも。

車掌を呼びだして一緒に写真に収まり(またそんなことをやっていますが・・・)、少し駅前に出ることにする。
駅舎はちょっとした喫茶店になっていて、コーヒー等が振る舞われていた。
駅前の花壇は花いっぱいで、どうやら北海道はこの時期はなの季節らしいことが分かる。
また駅を出て左手には鹿が飼われていて、さっき鹿を見のがした私はこれで我慢。
その辺に生えている草をむしってやってみると、争うように食べてくれた。

8:04 折り返し列車の出発。
帰りの列車はもう時間も早いわけではなくなったためか徐行するところも多く、 本当にゆっくりと釧路湿原を堪能できた。
なんといっても天気は快晴。 旧釧路川の穏やかな流れの水面に木と青空が反射して見え、とてもとてもきれいである。
先ほどの車掌さんはさすがに我々の顔を思えたらしく、検札もフリーパス。
さわやかな笑顔の好青年だ。
やがて右手正面に街が見えてきて、ノロッコ号の旅も終わりに近付く。
とても楽しい旅でした。


丹頂の群を見ながら北海道大横断!

釧路駅を降り立った我々は急いでホテルへ帰るためにタクシー乗り場へ。
なんといっても時間はもう9時。お腹がすきました。
タクシーに乗り込むとなんか見た顔が・・・ なんと偶然なことに、またも岡本タクシーの岡本さん。
同じ日に個人タクシーを二回も捕まえるなんて奇遇ですね、と話のきっかけをつかみ、釧路の観光名所を聞き出した。
なんといってもホテルのチェックアウトから列車の出発時間まで2時間以上もあるのだ。
しかし岡本さんも釧路湿原を見たあとの我々には困ってしまっていた。
つまり釧路は湿原以外の観光名所らしい名所がないってことですね。
困った岡本さんは博物館を紹介してくれました。
朝食はいつもの通りバイキング。 さすがに昨日の夕食があったので、大変期待していました。
さすがにうまい。でも普通。
要するにもう旅も6日目にはいると、いくらバイキングでも飽きてしまったんですね。

朝食をすませた我々はここで荷物の整理をしなければならない。
もう車はないので、大荷物をバラバラに持って歩くわけにはいかないのだ。
土産物も増えたことだし、昨日結局着なかったスーツや革靴などもある。
それらを箱に詰めて実家に送りつけることにした。

11時ちょっと前にチェックアウト。
そして博物館に行ってみることにする。
まあ時間つぶしのためのイベントだから期待はしていなかったけれど、まあそれなりにといったところか。
博物館の展示品が前の釧路地震の時に被害を受け、その状態のまま展示しているところがあった。
壊れた展示品や巨大な物がずれてしまった跡など。 なるほどこれもひとつの手だね。
しばらく見ていたもののやがて飽きてきて、人のいないことをいいことに二人してベンチで寝てしまいました。
グースカ。
ほんの15分くらいでしたが、まったくどういう2人なんでしょう。
まあそんなこんなで時間をつぶし、再び釧路駅へ。
13時18分発のスーパーおおぞら8号の入線を待つ。
おそらくステンレスボディーであるシルバーメタリックの体に青く縦長の顔は実に特徴的である。
入線をすませると昇降口に制服の女性が立った。
おおぞらレディーと呼ばれる車掌兼添乗員。 きれいな人でしたよ。

入線は13時前だったので時間はたっぷりあり、しかも我々は昼食がまだなので、売店で駅弁を買った。
「釧路名産いわしのほっかむり」と「釧路春採そばすし」である。
「そばすし」は以前から情報誌などで知っていて一度食べてみたいと思っていたもので、
「いわしのほっかむり」はそれでは足りないからと思い、購入。
「そばすし」と言うだけあってご飯の代わりにそばを海苔でくるむ巻き寿司風の食べ物である。
しかし春採というだけあってすでに9月の今ではそばがおいしくない。
両方たいらげたものの、どちらかというと「いわしのほっかむり」の方がおいしかったです。
さて食事もすませてしまったがまだ帯広を出たばかり。
先は長い。
長い。
釧路を出て南千歳まで3時間13分。さらにそこで乗り換えて登別まで43分。
さすがに列車好きの私もだんだん飽きてきて、嫁をおいて車内を動き回ることにした。
私でさえそうなのだから、嫁はもっと苦痛だろう。
飛行機や長距離バスなどにあるシートに付いている音楽システムなどの導入などを検討してもらいたいものだ。
狩勝峠付近で私は列車最後部から後ろに流れる景色を眺める。
列車はかなりの高速で走っているらしく、景色はあっという間に消えていった。
駅はほとんどなく、いくつかの信号所を通過。 駅がないということはこのあたりにはほとんど人がいないということか。
たしかにすごい山奥である。

そんな山奥を抜け、窓から見える視界が開けてくるとなにか不思議な感じがした。
同じ北海道なのに、どこか空気が違うのである。
どことなく都会の空気に変わったというか、 とにかく今まで感じていた大好きな北海道の空気ではなくなってしまった感覚だった。
列車は南千歳に停車。ここですずらん6号に乗り換え、登別へ向かう。
ところでこの「L特急すずらん」という愛称。
札幌−室蘭間を結ぶ特急のことなんですが、なんとかなりませんかね。
深川−留萌間の「SLすずらん号」と混同してしまいそうです。

このように今日一日の半分は移動に費やしました。
もったいないとは感じるけれど、北海道旅行では移動時間は覚悟しなくてはならないらしい。
広いわけだからしかたのないことなのかもね。
ところでこの項のタイトルはどういう意味でしょうか?
じつはスーパーおおぞらのシートには図案化された丹頂鶴の群が描かれていたのです。
それをずーっと正面に見ながら大移動。 ということでした。


すごく広い部屋

夕方になってやっと登別へ到着。
タクシーでホテルへ向かうと、街道沿い右手に巨大な鬼を発見。
タクシーの運転手によると登別といえば鬼らしい。
なんでも地獄谷というところがあるとか。
登別といえば温泉、くま牧場、伊達時代村くらいしか知らなかったから、新しい知識である。
でも名前から連想するに、おとといの硫黄山のようなところなのかな?
それならとくにいく必要もなく、
旅の最後に登別を選んだ理由はこのたびの疲れをいやしてから帰ろうしたからなので、
わざわざここでまた暴れることはないのである。
だからくま牧場も伊達時代村も眼中にはなく、ただいいホテルと温泉があればいい。
そんな感じである。

今夜のホテルは登別グランドホテル。
選んだ時点で今夜は豪華にと決めていたので、このホテルもここ登別で一位二位を争う高級ホテルなのだそうだ。
ロビーにはいるとさすがに部屋数が多いのか観光客でいっぱい。
でもベルボーイに連れられて我々の部屋に行くとその人影はほとんどなくなっていった。
どのくらい豪華にしたのかというと、
我々も部屋に行って驚いたのだが、なんと入り口のドアの手前に格子戸まで付いている。
これだけでも高級感をかもしだすというのに、なかに入るともっとびっくり。
部屋が広いだけじゃなく、部屋が多い!
すごいぞ!
8畳と6畳の部屋、玄関につながる4畳の部屋。机と椅子のある洋室。もちろん風呂・トイレ・洗面所は各ひと部屋。
泊まるだけじゃなく、2人で生活ができるような部屋でした。
もう一晩だけなんてもったいない。
この広さと感動を後に残すため、またも写真撮りまくりです。

すぐに風呂に向かい、ゆっくりと体を休める第一歩とします。
もちろん露天風呂。しかも三種類。
室内の風呂はというと、豪華ローマ風呂と名の付いた真ん中に謎の裸婦像がある丸い風呂。
なぜ登別でローマなのかは分からないが、とにかく北海道をここまで旅してきて一番広い風呂でした。
しかもなんと女湯のほうがさらに広いらしい。
これは風呂の男女が入れ替わっている明日の朝も入らなくては。
夜朝二回のお風呂は温泉場の常識ですね。

ゆっくりと風呂につかり、部屋に戻るともうすっかり食事の用意ができあがっていた。
これもまた豪華。
ここでこの旅でどんなものを食べたか思い出してみると、カニとホタテはほとんどの夕食に入っていたことに気付いた。
もちろんこの夕食もカニとホタテは入っていて、またもたっぷり食べるのでした。
給仕をしてくれた仲居さんもかわいくてとてもよい。
ちょっと年齢は想像つかなかったが、明るくてとても感じのよい人でした。
いいホテルだと仲居さんがお茶を入れてくれるんだね。
おしゃべりの相手をしてくれたりするし。
嫁は仲居さんの着ていた着物に目がいくようで、私は私で仲居さんのかわいい顔に目がいっていました。
大河ドラマを見ていたら彼女は中村勘九郎のファンだとか。
メガネッ娘のかわいい人でしたが、旦那さんがもういるらしい。
はあーーー。いいですねーーー。見たことのない旦那さん、うらやましいわ。
ま、人のものはよく見えると言うし、勘弁しておいてください。

9時も近くなって、川湯温泉でできなかった温泉街巡りをしてみる。
テクテクと歩くとあちこちにお土産やストリップ劇場が。
温泉街だねー。
ストリップ劇場はともかく、あれこれと土産屋を物色して木彫り人形を探すことに。
結局2人のそれぞれのお土産は買ったものの、やはり2人の共通のお土産も買おうということになったのだ。
酋長さんにしようか、熊にしようか、コロボックルにしようかと話しながら数件をまわり、候補をしぼっていく。
そして最終的にフクロウを杖の上にとまらせたコロボックル人形を見つけて買った。
なんか作戦勝ちみたいで悪いが、結局私の思いどうりになりました。


番外編 嫁日記

朝早く起きて乗りました。
旦那のイベントである「ノロッコ号」(笑)
朝霧で寒いし何も見えないし、どんなもんかと思ったけど、途中で鹿発見!
隣に座っていた家族連れが「鹿?」と言ったのを聞いたのよね。で、見れば親子連れ。
まさか演出のために剥製置いてるわけじゃないし、それで本物を確信。
旦那は気づかなかったみたい。ああ残念。
行きは悪いが帰りは晴れてよいよい♪でした。
でももうちょっと湿原が広くてっていうのを想像してたんだけど、山の中だったなー。残念残念。

そして長々と電車乗り。ひまひまー。

登別到着、ホテルの部屋にびっくり。ローマ風呂にびっくりでした。
明日のお昼には北海道出発。ああなごりおしや残念無限大。


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