9.2

朝里川温泉−旭川−紋別


三日目の朝
−20℃の世界
発展する街、、紋別
夜の出来事
番外編 嫁日記

三日目の朝

三日目の朝 朝起きて外を見ると一面の緑。
森の中というより山の中である。
ちなみに本日の部屋は洋室のツイン。
リビングと寝室が別れた二部屋と、後はバスルームとトイレがある。
角部屋だったので寝室で多少音を出しても隣に聞こえない構造である。
起きてさっそく朝風呂。昨夜はフラフラになるまで入っていたので、今回はさっと浴びるようにした。
朝食時に昨日のウエイターが「松下」という名前であることを確認し、チェックアウトの時に彼を呼び出す。
彼は恐縮しながらも一緒に記念撮影に写ってくれました。
いい人だ。
ホテルを10時にチェックアウト。今日もいい天気である。

小樽築港から札幌へ。そして11時発のスーパーホワイトアロー9号で旭川へ。
そろそろ嫁に疲れが見え始め、列車の中で寝るのに苦労しているようだ。

12:01 深川駅停車。
私は周囲をキョロキョロ。
実はこの深川駅。SLすずらん号(C11−171)の出発駅で、しかもこの日は運休日。
もしかしたらその辺に停まっているのでは、という期待があったのだ。
だが残念ながら見つけることはできず、一分停車ののち出発進行。
残念なことにこのあたりから空に雲が広がりはじめていた。

12:20 旭川到着。
ここで天気は一気に悪化。
大雨が降り始め、しかもここでレンタカーを借りる予定なのだが、そのマツダレンタカーの場所が分からない。
嫁は疲れている。
ウ〜ン、最悪だ。
さいわい駅前にJTBがあったので、そこでレンタカーの場所を聞き、元気をふりしぼって歩き始めた。
通り雨だったらしく小降りになり、やがて止んだ。よかったよかった。
だがそんなことをしているうちに時間はすでに1時半である。
本当は旭川ラーメンでも食べようと思っていたのだけど、遅くなってしまったので予定変更。
移動しながら食べられる物をということでコンビニのおにぎりになりました。
まあ二人して「ラーメン」という気分ではなかったのでいいのさ。
次の機会にしましょう。

借りた車はマツダデミオ。カーナビ付きだ。というわけで彼の名前は「カーナビ君」となった。(嫁未公認)
レンタカーというのははじめて借りるのだが、手続きの間なかなか細かい注意を聞かされ、めんどくさくなる。
しかも慣れない車は怖い。
傷ひとつで2万から5万と言われたのだからなおさらだ。3日間、釧路に着くまで気をつけなければ。
いや、今度来るときは紀子(本名、魚屋紀子。種族、スターレット)も連れてこようか。


−20℃の世界

車は旭川4条通から国道39号へ。
おにぎりをかじりながら一時間弱で上川のドライブイン、北の森ガーデンに到着。
ここで、せっかく北海道へ来たのだから、嫁には未知の体験をしてもらいましょう。
実はこのドライブイン。売店やレストランの他にも、軒を連ねる土産屋や熊牧場、そしてアイスパビリオンがある。
アイスパビリオンとはその名の通り氷のテーマパークで、−20℃という本州人には想像もつかない気温が体験できるのだ。
「さあ、嫁よ。入ってみよう!」 というわけで薄っぺらい防寒着を一枚着ていざ初体験。
「さむーい、いやー、もう出よー!」を連発し、あっという間にネをあげてしまいました。
でもその姿を見ているとどこかはしゃいでいるようにも見えて、なかなかかわいいものです。
まるで大きな子どもがいるみたいでした。
でもさすがに、さらに寒い−40℃の部屋には入ってきませんでしたが。

いずれこの地に移住をとか考えている、その前に立ちはだかる大きな壁といったところでしょう。
だから今回の旅の目標に、嫁の口から自発的に「北海道はいいところだ」と言わせることだったりします。
こうして少しずつ洗脳していくのです。

さて外に出て、売店で土産を物色。嫁の弟に木のパズルを買った。
でも彼はこれを喜ばないんだろうなー。
小学生なんてそんなものだ。
じゃあどんなものが喜ばれるのかを考えて思いついたことをひとつ。
木のパズルを買ってきてもらうより、きっとゲームのほうが少年にはうれしいのだろうという発想から、
地域限定ポケットモンスターデータというのはどうだろう。
その地域でしか手に入らない幻のポケモン。 夏休み明けには学校で全国各地の限定ポケモンのデータが取り引きされる・・・
なんか嫌な世界だ。
いや、もうポケモンブーム自体がもう終わっているか。

ここでラベンダーソフトクリームとあげいもと焼きとうもろこしをと目論んでいたのだが、腹の調子が悪かったので先送り。
これが後々の後悔の元になる。
まあそれはともかく、カーナビ君は39号から273号へ。
我が第2の故郷、紋別へと向かうのでした。


発展する街、紋別

国道273号は上川を離れ、浮島峠へと向かいます。
さて今回乗った「カーナビ君」。
将来手に入れたいと思っているカーナビがいかなるものかを知るために彼を借りることにしたのだが・・・
一時間もしないうちに、こいつが北海道内ではたいして役に立たないことが判明。困ったものである。
どのくらい役に立たないか。ではここで彼の仕事をダイジェストでお聞かせしましょう。
「まもなく左方向です」
と、旭川4条通りから国道39号にはいると、
「しばらく道なりです」
そう言ったまま、それから約一時間、黙ったままなのである。
ようやくなにか言ったと思ったら国道273号への分岐。
「ポーン、700メートル先、左方向です」
目の前にでかい表示板が出てるから分かるって。
こんな調子がこの後三日間続く、とても物静かなおとなしい奴なのだ。

浮島峠のトンネル手前で10分停止。トンネル内で工事中らしい。
浮島トンネルを抜けてしばらく峠道。
それも一段落した頃になると道沿いに牛や馬が見え始め、嫁はそれを見つける旅に「牛!馬!」と叫ぶ。
どうも−20℃を体験したあたりから嫁は壊れてしまったようだ。
北海道旅行のプランを立て始めた頃のことである。
嫁に北海道で何をしたいか聞いたところ、牛や馬がいる草原が見たいというのが唯一の要望だった。
北海道に入って北斗星の車窓から牛馬を見ることはあったものの、
実質的にはそれらとの接触ははじめてであるから、はしゃぐのも当然か。
だが嫁よ、そうあわてるな。
このあたりの牧場などはまだ序の口。
旅の後半にはもっとすごいところに連れていってあげよう。

上川を出て約一時間。峠だったとはいえ民家の全くないところを走り抜け、ようやく町が見えてくる。
滝上(たきのうえ)である。
ここで再び小休止。道の駅滝上へ入る。
小綺麗な売店のある建物だったが、私の記憶によれがここは小汚いトイレと自動販売機があるだけのところだったはずだが。
私が北海道を去ってすでに3年半。それだけ年を経れば、それくらいは変わるか。
売店での商品は主にハーブで、さっそく物色するがこれといって面白いものはなし。
ホットコーヒー200円を飲みたかったが、小銭がなかったのでやめた。
ハーブに関しても店内で見つけたポスターでハーブのお店が近くにあるらしい。ハーブを買うならそちらのほうがよかろう。
ということで予定変更。カーナビ君の言うことを聞かないでそちらに向かった。
カーナビ君は困った様子である。
ちょっと山の上に登ったところにハーブガーデンはあった。
二人して疲れていたので今夜はゆっくりしたいと、
ラベンダーなどのリラックス系アロマキャンドルを探すが、これといった物が見つからず。
その他の品も目立って面白いものはなかった。 夕暮れ時ということもあり、客の姿はほとんどなかったので、寂しい印象を受けてしまった。
カーナビ君は誤差を修正しようと必死で、車に戻った2人はしょうがないなと紋別に向かうのだった。

滝上といえば渓谷が有名なのだが、嫁にはそれを見せることなく通過。
ただちょっと橋の上に止まって下を流れる川を見せるだけにした。
写真も一枚だけにとどめる。
ちなみにその渓谷沿いに一軒のホテルがある。
その外観から嫁も「ラブホテル?」と言っていたが、違います。
どんなサービスが受けられるか、一度泊まってみたいものだ。

さて紋別に近付くと左右に牧場が広がるようになり、標識も「牛横断注意」。
大山の裏を抜けて、やがて街並みに入っていく。
「ああ、私は帰ってきた。懐かしい」
と感傷にふけりたいと思っていたら、なんだ? あれはなんだ?
「あれは、ローソンではないか!」
さてこれを読んでいるみなさん。ローソンなんてどこにでもあるじゃないかと思ってはいませんか?
北海道をなめてもらっては困ります。
一度町を離れてしまったら、民家などないのが当たり前。
街にいたって、札幌・旭川級ならともかく、こんな地方都市にコンビニなんて、ないない。
あっても12時で閉店してしまう。
北海道とはそんなところなのです。
私の住んでいた頃の紋別もそうでした。
私が去ることになった年にコンビニが初出店したのは知っていましたが、
まさかローソンまでできているとは、と驚いていました。
驚いていたら、なんとあれはモスバーガー!
思わず「こんなの紋別じゃない!」と叫んでしまいました。
紋別住民のみなさん、すみません。
でも本当に3年という月日はすごいですね。
うーん。発展する街、紋別。


夜の出来事

紋別での予定は以前すんでいた下宿、お世話になった喫茶店、大学などの訪問。あとは洗濯である。
だがとりあえず紋別がどんな街か嫁に見せたいと思い、市内にある小高い丘に登り、展望台から街を一望する。
夕日に照らされた町並み。目の前に広がる海がオホーツク海であることを知った嫁は感慨にふけっていた。
昨日の朝、北斗星の中から見た海は太平洋、今日小樽で見た海は日本海である。そしてオホーツク海。
大移動をしたことがこれでも分かる。
空は晴れて、なかなかよし。
嫁にも紋別の街は気に入ってもらえたようである。

さてひととおり山の上から紋別を案内し、学生時代私の行きつけだった喫茶店に向かった。
数日前に「結婚しましたはがき」を送ったので、忘れられているということはないはず。
喫茶店「カナディアン歩吾夢」はログハウス風の作りでマスターとその奥さんがなかなか面白い人なのだ。
私もかなり入り浸っていて、そこでランチを食べたあと閉店までそこですごしたこともあった。
だが店の前に行ってみると、なんと休み!
なんてこった。年に数度しか休まない喫茶店なのに、運悪くそのわずか数度に当たってしまうとは。
自分の運のなさにもあきれてしまうが、ま、どうしようもないことはあきらめよう。
ということでホテルに向かうことにした。 本日のホテルは紋別プリンスホテル。
数年前に温泉を掘り当てたらしく、増築していたのがわかった。
といっても全体的に新しいという印象はなく、並な感じである。
部屋にはいるとさっそく洗濯物の分別開始。
なんといっても旅行もすでに三日目。
荷物を減らすために3〜4日分の服しか持たず、あとは旅先で洗濯をすることに決めていたので、
そろそろ洗濯をしないとやばいのである。
残念ながらこのホテルには洗濯のサービスは昼しかやっていないそうであるが、
そこは4年もの間暮らしていた街である。コインランドリーの場所は知っているのでまかせて、といったところだ。
そんなことをしているうちに食事の時間。
今日はカニの特別料理をお願いしていたので、たっぷり食う覚悟で腹も減らしておいたのだ。
場所も、食堂でも部屋でもなく、なんと宴会場。
広い部屋に2人分の料理。 どの皿にもカニかに蟹!
カニの刺身にカニのしゃぶしゃぶにもとろん煮カニ。
茶碗蒸しもカニ。豆腐と思ったらカニ味噌豆腐。
カニづくしである。
カニもうまかったが、茶碗蒸しの中に入っていた栗がなかなかポイント高くてうまかったです。

食後は洗濯。 夜に車を動かし、コインランドリーへむかうとなんとそこも変わってる!
コインランドリーはコンビニへと変化していたのである。
また途方に暮れる2人。
他にはないかと電話帳で調べ、行ってみるとすでに閉店。
八方ふさがり。
しかたがないので着る物はあと何日分あるか、明日の宿でのサービスの有無など様々な点から検討した結果、
とりあえずホテルに戻ることにした。
フロントで相談すると洗濯だけならホテルでしてくれるということだが、乾燥機もかけてもらわないと意味がない。
しかしフロント係はコインランドリーの開店時間を調べてくれ、明日の朝行くことを薦めてくれた。
それにしても紋別プリンスホテルのフロント係はこのことについて親身になって相談に乗ってくれたのがうれしかった。 今日はどうも不運がつきまとう一日だったが、その中のわずかな好意はとても光って見える。
最近でたばかりという温泉もなかなか良。
露天風呂は少し狭く、無理矢理作らず館内の風呂の充実に当てたほうが良かったのではないかと思えたが、
全体的に好印象である。
脱衣所の外にある無料マッサージ機が気持ちいい。 そこで体を揉まれながら、しばしウトウトしてしまいました。

実は紋別の夜ではもう一つイベントを用意していたのだが、天候の都合でやむなく中止した。
薄曇りの空では星空を見せることができないからだ。
それは結婚する前のこと。
嫁とプラネタリウムを見に行ったとき、私はもっとすごい北海道の星空を見せると約束していたのだ。
満天に輝く、数万という星達を。
今日こそ実行の時と思っていたのだが、天候には勝てず。
車で郊外にでる計画だったので明日が最後のチャンスなのだが、それも果たせなかった。
また北海道に来たとき、今度は必ず見せてあげるね。


番外編 嫁日記

朝里川クラッセホテルで出会ったホテルマン松下さんが、
友人に似ていて2人ですごく盛り上がり一緒に写真まで撮る。
もちろんその写真は友人に見せる予定(笑) 旭川では急に雨に降られてしまいさんざん。
しかもレンタカーの店は見つからず、見つかったところで説明が長くさんざん。
ドライブ途中のアイスパビリオンでは−20℃の世界で鼻の中まで凍ってさんざん。
いいことないのか?
でも峠を何個か越えたあと見えてきた牧場に、やっと北海道を実感しました。
んーうしうし。 そしてたどり着くはじめての紋別。
付き合いはじめて2年間は新潟−紋別の超遠距離恋愛でした。
安く行こうとするとフェリーで時間がかかる、往復で4日かな?しかも紋別には1泊。
時間を短くしようとすると飛行機で金がかかる、往復で4万円かな?しかも新潟から札幌まで。
紋別まではさらにある。
そんなんで結局行かぬまま過ごしてしまったところに、やっと来ました。
遠かったです。 ここまで手紙を送ってたんだなーなんて思ったり、写真で見たとこはここなんだなーって思ったり。感無量。

着いたよ。あれから6年たったけど。


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